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2005年12月02日

USBあったか手袋

 アトピー持ちの筆者は暑さに弱く寒さに弱く、乾燥に弱く多湿にも弱いという厄介な体質で、着用する衣服や使用可能な空調機器に結構な縛りがある。
 2005年も12月に突入していよいよ寒くなってきた。エアコンはあるが、空気が乾燥するから暖房は使えない。石油ファンヒーターの類も同様、電気ストーブは電気代が高いので回避(一日ずっと部屋に籠もって使っていたら、電気代がかなり高くつく)。
 そんな次第でここまで何とか厚着で誤魔化してきたのだが、いよいよ本格的に冬突入となると、そんな原始的な対応では心許ない。

 というわけで先日、足温器を購入。スリッパ形になった電気あんかだと思ってもらえば間違いない。「低」スイッチなら使用電力は30Wと、電気ストーブのそれと比べて相当低く済むし、それでもう十分な効果があった。
 が、人間贅沢になっていくもので今度は足先と同じ身体の末端、手先が寒くてキーボードを打つのがしんどくなってきた。
 前置きが長くなったが、このような事情により、USBあったか手袋の購入に至った。


■概要■
 製造/販売元はサンコー【レアモノショップ】。他にない独特のアイデアによる製品を扱っていて、一部の好事家からは注目されているショップだ。
 イロモノショップと侮る事なかれ、サンコーの液晶アームは、2chのPCハードウェア板にある液晶アームスレでは、価格と性能のバランスで一定の評価を得ている。
 本題のUSBあったか手袋は片手\1,980、両手で\2,980。インプレスやITmediaの記事で存在を知ってすぐ注文したのは11/24だが、初回分は予約完売ということで再入荷が11/30、翌12/1に指定口座へ送料込みの\3,480を入金して、さらにその翌日12/2に到着した。運送業者はヤマト宅急便。
 なお、筆者はサンコーから購入したが、検索すると他店でも扱われているので、送料が気になる場合は他店も調べてみるといいだろう。


■仕様■
 梱包はヤマト宅急便の紙袋に、エアキャップで包まれた白箱が入っているのみ。製品概要などが記された外箱などは付属しない。
 内容物は手袋1双、USBケーブル×2、説明書とシンプル。

▽内容物
箱はやわい。


・手袋
 毛糸で編まれたもので、指ぬき/フルカバーを変えることができる。ユニクロで同様の手袋が\1,000で販売されているが、そちらと比べると、サンコー手袋は指ぬき時に親指の余りを止める方法がなく、作りはやや甘いといえる。
 サイズはユニクロでいうところのS/Mサイズに相当し、筆者には丁度いいくらいだが手が大きめの成年男子には窮屈かもしれない。

▽手袋
051202b2.jpg

▽着用時
親指を出すと、外側にプラプラする。

▽サイズ比較
右はユニクロ手袋のM/Lサイズ。


・USBケーブル
 電源スイッチがあり、弱−切−強が片手それぞれに切り替えられるようになっている。USBコネクタの形状はAタイプで、一般的なPCならほぼ全てに差し込めるタイプだ。

▽電源スイッチ
‖が強。


・説明書
 A4片面のシンプルなもので、おそらくインクジェットプリンタで刷っている。モノクロのため掲載写真が見づらいが、もともとシンプルな製品なので困ることはない。


■使用感■
 早速使用してみた。手袋を着用し、小指付け根の外側から出ている電源コードをUSBケーブルに接続、USBケーブルをPCのUSBコネクタに差せばいい(なお、WindowsはUSBデバイスとして認識しない)。電源スイッチを弱または強に入れれば「ほんのり暖かく」(説明書表記ママ)なってくる。
 ヒーターユニットは片手につき2カ所、毛糸の間に仕込まれていて取り出すことはできない。幅6cm×長さ4cmほどのユニットが指の付け根〜甲にかけて1つ、もう1つは指先に嵌める部分にある。どちらも手を握ったとき、外にくる側に仕込まれている。

 実際の使用感としてはまさしく「ほんのり」。USBから給電している関係上、上限が5Vに制限されるため、劇的に暖かくなるようなことはない。貼り付けるタイプの使い捨てカイロと比べれば、熱量はだいぶ小さいといえる。
 が、長時間着けっぱなしで使うことを考えれば、これくらいの温度が丁度いいと思う。製品コンセプトからして室内利用を想定しているはずで、これ以上の熱量だと発汗もかなり促進されるだろうし、着けっぱなしは厳しくなるだろう。熱すぎず冷たくもなく、寒さを凌ぐにはちょうどいいといえる。
 また、筆者は基本的に指ぬきの状態で利用したが、フルカバー状態にすれば2つのユニットを有効活用し、指先は特に神経が敏感な箇所でもあるから、より大きな効果が得られるだろう。


■欠点■
 このように大きな満足感が得られた本製品だったが、有線給電が故の欠点もある。着席して移動しないときはいいが、いざ移動しようとするとケーブルが邪魔になるのだ。ケーブルが届く範囲の場合は物に引っ掛からないよう配慮する必要があるし、ケーブルが届かない場合は手袋を外すなりする必要が生じる。
 一応その点への配慮はあるのか、手袋直付けの電源ケーブルとUSBケーブルとは分かれる作りになっているが、USBケーブルの端に電源スイッチという重量物があるため、ケーブルの融通がいまひとつという感じがする。
 書き忘れたが、電源ケーブルは約50cm、USBケーブルは約100cmの長さがある。

 また、ケーブル長が足りない場合はUSBハブを利用することになるが、両手分を繋げる場合は、ACアダプタなどで別途給電可能なハブである必要がある。別途給電せずに利用してみたが、明らかに発熱量が低下した。
 説明書にも「USBポートから5V供給できない場合、最高温度を保てません。その際は、パソコンに直接繋ぐか、ACアダプタ付きのUSBハブをご利用ください」と書かれている。
 そこで筆者は使わずに死蔵していたACアダプタを引っ張り出してきたのだが、「じゃあUSBコネクタの意味ないじゃん」という気も……。一応、ハブの動作としてはPCに接続していないと電源が伝わらないようになっているのだが。
 USBハブを開けてどこかをショートさせれば、単純にACアダプタから直接給電できるようにできるのかもしれないが、Googleで軽く検索してみた程度ではそのような改造を見つけられず、別の機器を繋ごうということで自分を誤魔化しておいた。電気工学の素養があれば簡単な改造だろうが。

 その他の欠点としては、洗濯が不可能であることが挙げられる。発熱体であるから、使用時に多少の発汗は避けられないのだが、それが長期に及んだ場合の対策がない。
 説明書にも、洗濯に関する表記はない。もちろんそのまま水に入れれば即壊れるだろうから、自己責任でユニット部分だけ取り出すことになるだろうが、裏返しても出し入れ口は無いようなので切開することになるだろう。


■総論■
 買って良かったな、と書いている今もまさに本製品が大活躍中。足温器と併せて、今冬を過ごすには必須のアイテムとなりそうだ。
 省電力で、かつ手先の自由が確保される本製品は、シンプルなアイデアをうまく実現した製品だと思う。おそらく、過去にも似たアイデアの製品企画は存在しただろうが、家庭用電源から給電するのか? ケーブルが邪魔にならないか? という不自由さがネックとなって、実現を阻まれてきたのではないだろうか。
 「どこで、誰が、どんなときに使うのか」という企画上の疑問点を、USBを使ってPC周りに限定することで明確にした。うまい企画だと思う。
 いずれ電池などの電源技術が発達したら、ケーブル付きの手袋として笑い話の種になるだろうが、それまでは大いに役立ってくれそうである。